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Don't be rational.

ブートローダが書き込まれたATmega単体を内部クロックで使おうとする時に起きる問題とその対処

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Arduino UNOに乗っているATmega328pをUNOから外して、内部クロック(8MHz)を使った最小構成で動かす実験がしたくて手こずってた。

Arduino - ArduinoToBreadboard これのMinimal Circuitってやつ。

  • プログラマ用のUNOにArduinoISPを書き込む
  • 上記ページからbreadboard-1-6-x.zipを拾ってきて展開してhardwareに入れる
  • ISPの6本線を配線する
  • BoardをATmega328p on a breadboard (8MHz)に設定する
  • ProgrammerをArduino as ISPにする
  • ブートローダを焼こうとするか、スケッチをUpload Using Programmerしようとする
  • エラー Yikes! Invalid device signature 0x000000

これ結構いろんな人が困ってるみたい。問題は、クロックソースはfuseビッツで設定するもので、UNOから外してきたATmegaにはUNOのブートローダが焼きこまれたタイミングで16Mhzの外部クロックを使うように設定されているということ。水晶なしではクロックがない状態になって書き込みができない。

というわけで、ATmegaを外してきたUNO(抜け殻)から水晶を借りることにする。

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  • 抜け殻のソケットとATmegaの、9番と10番、あとGNDをそれぞれつないでやる
  • fusesを設定するために一回ATmega328p on a breadboardのブートローダを焼き込む
  • もう抜け殻は用済みなので外してOK
  • あとは普通にArduino as ISPでスケッチをアップロードすれば動く

今回はブートローダなしのAVRマイコンをそのまま使う予備実験のためにこんなまどろっこしいことしたけど、ブートローダが焼いてあるマイコンArduinoスケッチをアップロードしたいだけならこれの方が簡単: ArduinoでUSBシリアル変換してESP-WROOM-02に書き込む – Mechanic Note

焼き込み/書き込み/アップロード フィーリングで使い分けましたがFTDI使わないので全部同じ意味です。

First Lot First: 最初のロットを先に作る。

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昨日の記事の続きで、Maker Proになりたいシリーズ2作目です。

Maker Proになる道を模索する活動の一環として、個人Makerにとっての販売開始までのハードルの高さを解決したい。

プロトタイプが完成してからの、最初のロットの生産と販売というフェーズを、安く、効率的に遂行する手法を確立して、このフェーズまでをプロトタイピングの枠組みに持ち込みたい。

電子製品の開発から販売開始までのステレオティピカルな流れ(以下:プロシージャ)を示す。自分でやってみたことはないので、想像も混じっている。

  1. プロトタイプの開発
    • 回路設計、基板設計
    • エンクロージャ(外装)のデザインと製作
    • 組み立て
  2. 資金調達
  3. 量産の準備
  4. 量産を外注
    • PCBAサービスへ組み立て済み基板製造を発注
    • エンクロージャ製造や製品の組み立てを発注
  5. 出品
  6. 梱包、出荷

2-6までを一括で外注できるサービスも存在して、便利だろうとは思うが、今は無視する。

今回僕は、最初のロットについて、2と3をバイパスした次のプロシージャを提案、実現したい。

  1. プロトタイプ開発
  2. 出品
  3. 小ロット(例:100個)生産
    • PCBAサービスへ組み立て済み基板製造を発注
    • 自分でエンクロージャを生産、または金型を要しない成型を外注
    • 自分で最終的な組み立て
  4. 梱包+出荷
  5. 売り切る

ここまでうまくいったら、

  1. 資金調達
  2. 量産の準備
  3. 量産を外注

と続く。もしくはロングテールで細々と売る場合は、外注の量産に移行せず、そのまま家で小ロット生産を続けるということも可能だ。

このプロシージャを便利のため仮にFLF(First Lot First)と呼ぶことにする。

FLFを採用すると、significantな時間とお金を費やす前に、売れ行きやフィードバックを得ることができる。また、売れる確信がないものを作るリスクを低くすることで、すごくニッチな製品や、周囲の人間の中で自分だけが面白いと思う製品が世に出る可能性を拡げられると思う。

FLFを現実的なものにするためには、3(小ロットの生産)は以下の要件を満たす必要がある:

  • 高価な型を必要としないこと
  • 製品レベルの強度+見栄えものを、安定して生産できること
  • 自分で生産する場合、1個あたりの生産にかかる労力が低いこと

近いうちにFLFを実践してみるつもりだ。その時は、3Dプリントをポストプロセスで綺麗にした型を使った、シリコンのディップ成型を採用する予定。

家で生産するために、自分用の3Dプリンタも買った。Anet A8。届くのが楽しみだ。

成型技術やそのコストなどを調べるためにこの本を読んでいる。面白い。

またアップデートします。

歌う鳥居を作った

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去年の12月末から作っていた鳥居がやっと完成した。

BenoîtとGerritのKAIRプロジェクトに混ぜてもらって、電気関連は全て僕が監督した。

12月中は吹きっ晒しの納屋でスピーカの状態をチェックしたり、スピーカ駆動回路の検討をしたりしていて、建設作業に取り掛かったのは年明けてから。

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↑完成前日の配線作業。3チャネルそれぞれにつき、スピーカーユニット数台を直列にしたグループを数個並列に結線して巨大な4Ωスピーカを作った。雨の中作業したりして大変だった。配線作業はえんがわのタケシさんも手伝ってくれた。

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↑はしごの上からの眺め

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↑正面

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↑背面

www.youtube.com

↑動画。 近いうちにもうちょっとましな動画撮ります。

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Die Audio Gruppeで記念撮影。製作中Benoîtとは何度も怒鳴りあって喧嘩してたけど完成して仲直りできてよかった。

www.benoitmaubrey.com

↑サイトに名前載せてくれた。これが一番嬉しい。

この作品は今後しばらく(目標は10年)神山に立っているので是非見に来て音楽流していってください。午前9時から午後7時までの間、BluetoothでBelkin Songstreamってやつとペアリングして流せます。

最後にKAIRのみなさんありがとうございました!すごい楽しかったです!


Misc:

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↑Denki Boxの製作光景。12V電源、バックコンバータ、Bluetoothレシーバ、ホワイトノイズ用のラジオ、今回のために製作したミキサ兼プリアンプとカーステ用のアンプが入っている。

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↑マイク用プリアンプ付きのミキサ。

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↑これはBenoîtへのお土産用

AIとアップロードそして意識について

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今日、高知遠征の帰り、車中でtenguyashikiさんと表題のようなことを延々話した。他にもいろいろ話したんだけど、それはこぼれ話として僕の紙のノートに残しておく。

お互いに究極の夢を話してみたところ、僕ら二人とも自分のコピーを作りたいと思っていることがわかった。ただその方法がちょっと違っていてtenguyashikiさんはロボット的なものを考えていて、自分の脳の一部を表層意識に上らないように使ってロボットをコントロールするというようなアイディア。僕は宇宙APIで書いたようなシミュレーション宇宙に住むソフトウェア人間に人格をアップロードして、メモリが許す限りいくらでもコピーできるというアイディア。

どちらにせよ少なくとも現時点では根本的な問題がある。脳は持ち主から見てもブラックボックスの中身だというのがそれ。ロボットの計算資源として脳の一部を使ったり、脳の現在の状態をダンプしてアップロードしたりというAPIにだれもアクセスできていない。APIがあるのかもよくわからない。

現実的な妥協点を見つけるために、アプリケーションを考えた。人間が常にカメラ付きのメガネと耳掛けマイク等、AIが使える感覚器官を身につけて生活をする。つまり自分自身が得ているのとと同じインプットをAIに与える。そのインプットからAIと人間がそれぞれ推論や想像を進めて、ある一定時間経過後にAIと人間がフィードバックしあうのを繰り返して、お互いの思考プロセスが似通うように訓練していく*1。 最終的に自分と似たような思考回路を持ったもう一つの脳ができあがる。そして2つの脳にそれぞれ別のことを考えさせられるようになり、真のマルチタスクが実現する。というもの。

ディープラーニングとかの機械学習みたいに、パターンマッチを効率的にできるように訓練するというのではなく、勝手に疑問を持ってそれに考えたりっていう思考のプロセスを模倣するというのがポイント。機械学習は入力部分で使えるけど本質的には関係無い。

単純化すると、自分の思考プロセスのモデルを作ってそれを数式かプログラムとして記述できれば、自分の脳をソフトウェア的に再現したことになると言える。少なくとも外見的には。

僕らは二人とも、人間の思考プロセスに真の乱数は関わっていなくて、全ての条件が同じ、全く同じ状態の2つの脳は、同じ刺激に対して同じ反応を返すという仮説を持っている。この話は昔、宇宙APIの記事に書いた。仮説が正しければ思考プロセスのモデル化は原理的には可能だと思う。

これが実現したら、tenguyashikiさんはtenguyashikiの思考プログラムとそれを走らせるプロセッサ、それに感覚器官と、人間に可能な動きを実現する各種アクチュエータを組み合わせたロボットを作ればいいし。僕は宇宙のシミュレーションとそれに適合する体をプログラムすればいい。と、いいつつも、宇宙のシミュレーションを作るのは大変なので、僕もロボットを作って残りの仕事はそいつがやってくれると信じてこの人生は生身のまま終えることもできる。

さて、この脳のソフトウェアコピーに意識はあるのか。

意識ってなんだと自分が考える答えにソフトウェア脳が辿り着いたらそいつには意識があると言えると思う。

僕にとって意識とは、自分はなんなのかと問い続けて、それについて研究し続けることだ。これができるソフトウェア脳には意識があり、従って人権を与えるべきだ。というのが僕の考え。あなたにとって意識とはなんですか?

*1:フィードバックは文字とか音声で良い

アートは楽しい

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先週から、ドイツ在住アメリカ人のBenoîtとオランダ人のGerritと一緒に作業している。二人は徳島LEDアートフェスティバルへの出場と、あと神山にラウドスピーカーを大量に使ったオブジェを作るために来ていて、面白そうだから混ぜてもらった。

Benoîtのサイト

www.benoitmaubrey.com

LEDフェス出場作品

tok-led-artfest.net

二人とも電子回路の理解は大雑把なもので、ありものを組み合わせてやばいものを作るという感じ。僕はもう少しだけわかるから、回路のトラブルシューティングで重宝されている。Li-ionバッテリーの充電機の修理とか、パフォーマンス中に破裂したMOSFETの代替品を探したり、破裂しないように保護回路をつけたりとか。

彼らが作る作品を見ると、基板やら配線やら剥き出しで、だいぶサイバーパンクっぽいんだけど回路は全部アナログで、なんと呼んでいいかよくわからないけどヤバい。

最近僕は、製品を作ろうとしてて、内臓をきれいにカバーして、買う人がギョッとならないようにするってことに時間を割いてて、それはそれで3Dプリンタ使ったりシリコン成型してみたりと楽しんでやっているんだけど、やっぱり内臓剥き出しの血管剥き出しで、たまにショートしてレギュレータが吹き飛び抵抗が燃えるみたいなスタイルが好きだ。

LEDアートフェスティバルでは阿波踊りの踊り子(生身の人間)の着物にLEDストリップを付けて、鳴り物に合わせてそれが光るという展示をやるんだけど、実際リハーサル中に女の子の着物が小爆発起こしたりしてて本当に面白い。

アートは楽しい!

自転車を買った

ひと月前に、新しい自転車を買った。FUJIのBallad R 2016。

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2012~2013年頃に乗っていたのが、同じFUJIのFeatherで、とても気に入っていたのに、アメリカに置いてきてしまった。これ:

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今回は似たような色のロードバイクにした。今住んでいるのが山なので、シングルスピードはさすがにキツイと思ってロードにしたけど、やっぱりピストの方がすっきりしていて好きだ。

クロモリのホリゾンタルフレームというのは中学の頃に乗っていたランドナーから変わっていなくて、Wレバーなのもそのランドナーを思い出して良い。その時使っていたのはフリクションタイプだったから、インデックスされているのは最初びっくりした。

東京でピストに乗ってた時は、必ず国道/県道の車道をすっ飛ばして、車FUCKと思ってたけど、今は自分でも車を運転してるし、なるべく車通りの少ない道を選んで、歩道があるところでは歩道をゆっくり乗っている。丸くなったもんだ。

これはフロントバッグとかサイドキャリアとかつけて、小旅行とかポタリングとか、そういう楽しみ方をしようと思う。

いろいろと悩みは多くて、モヤモヤしてることが多いけど、自転車に乗っている間はすーっと集中できる。

自転車、おすすめです。