バリの家と祭り
先週の火曜日まで、家族でバリに行っていた。山の方のウブドっていうとこ。
家
バリの街は、縦横にジャラン(jalan,通り)が走り、それぞれのジャランから無数のルマー(rumah,家)や寺院がビッシリと密接して生えている。
ルマーは家と訳されるが、実はひとつのルマーの中には複数の家族(親戚)がそれぞれ一軒屋を建てて生活している。今回はルマーの一つにホームステイした。
ルマーは結構広くて、ちょっとした分譲地くらいの面積がある。ジャランと直交してルマーの中にも小径(こみち)があり、一軒屋は小径の両側に並んでいる。
各核家族が住む一軒屋はこの小径に面して建てられていて、背面を除く三方に窓がある。ルマーはジャランに通じる小さな門を除いて塀で囲まれている。 塀の中で、内側を向いて生活をするので、空間的に閉じていて、隣を意識することがなかった。
構造だけで言うと、大門が一個だけあって、周りをお濠で囲った昔の吉原を縮小したものに一つの大きい家族が住んでて、それがズラーっと並んでるような具合。
日本では、と一般化はできないが、僕の近所は、四方に窓がある家が、裸でポコンポコンと建っていて、家同士の距離はそこまで詰まっていないものの、見通しが良いので、まあなんというか心理的に相互監視的な気持ちになりやすく、プライバシーの確保できるバリの家の造りが羨ましかった。家族内で腫れ物にされたらつらいだろうけど、ジャランに一歩出れば外の世界なので、よし。
祭り
タイの田舎では、人は1日2時間を2ヶ月しか働かないらしい。米の植付けの一月と、収穫の一月。後は家庭菜園の面倒を1日15分も見てやれば、食うには困らない。暇だから、タイでは祭りがしょっちゅうあるんだそうだ。自給自足がいいかはともかく、自由時間が多いのはいいよね。
バリも祭りが多い島だ。ヒンヅー教と土着信仰が融合したバリヒンズー教徒は、島内の人口の90%以上を占める。この動画はちょうど泊まっている間にあったクニンガンという祭りで、日本のお盆に相当する行事を、上の写真の門から撮影したもの。
獅子舞が神輿のように練り歩けば、だいたい同じだ。こんなのや、もっと全然すごいのが年に5回くらいあるらしい。加えて、各コミュニティーには必ず4つの寺院(プサ:ヴィシュヌ, デサ:ブラーマン, ダラム:シヴァ, 墓地:ドゥルガ)があって、それぞれでケチャをやったりガムランをやったりするもんだから、それはもうしょっちゅうお祭り事をやっている。
親戚が集まって暮らしているので、仕事の役割分担ができて、みんな時間があるようだ。
この動画は、クニンガンの動画にも映り込んでいる寺院の庭で、毎週2回披露されるケチャダンスの冒頭部分。
日本にもそこら中で祭をやってた時代があったのに、いつの間にかスカスカになってしまった。若者はみんな経済の歯車にされに都会へ出てしまって、祭りは爺ちゃん婆ちゃんが準備したところに行くものになってしまった。
僕が今住んでいる在所では行事といえば川掃除とお宮掃除と新年会くらいしか残っていない。
冒頭のタイの話のように、日本にも農閑期という、仕事をしない期間があって、農閑期の遊びというのがあった。神社の境内の野舞台で演る素人歌舞伎とか浄瑠璃とか襖カラクリとか、準備は忙しいけど、それが楽しいからやるんじゃという本気の遊びを村人みんなでやっていたんだ。
もっと日本中盛り上がってパーッと晴れやかなお祭り国家にならんかな!ちょっとジメッとしすぎじゃないですか今。 祭りって何箇所か残っているというのでなくて、国中上から下までどこもかしこもやって、きちんと鎮めるのが本来だと思う。
終わり。