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A Tree That Burns Itself

オースラトリアの中央に広がる砂漠地帯には、点々と小さな林がある。こういう林に生えているのは乾燥に強い木なんだけど、そういう木の一つに、現地の言葉でカラジョンと呼ばれる一風変わった木がある。なんとこの木は自殺をするのだ。

カラジョンは500種類以上あるユーカリ属の木の一種で、学名をEucalyptus dalrympelanaと言う。カラジョンは、オースラトリアの厳しい乾期(12月〜2月がピーク)の間に、激しい強光ストレスに曝される。強光ストレスとは、植物が強い光を浴びたとき、必要以上に光合成が行われてしまう事により活性酸素が発生してしまう現象のことだ。このとき植物は活性酸素消去系という機構を使い、これを排出するんだけど、カラジョンはこのとき余った金属原子を葉の付け根の小さな膨らみに蓄積してしまう。

樹齢15年を過ぎたカラジョンは、毎年乾期の終わりに近付くと、蓄積された金属によるストレスを引き金として、一部の葉への水分補給が断たれ、赤黒く変色して枯れ始める。同時に枝の分岐点から直径1.5cmほどの大きな水滴が分泌され、この水滴がレンズの役割を果たして太陽光を集光して、枯れた葉に着火することがあるのだ。着火した梢が地面に落下すると、容易に森林火災が発生する。一株の一年当たりの着火率は20%ほどだが、木全体に燃え広がるのは統計上このうち25%くらいだという。オースラトリアの夏に毎年起こる森林火災のうち、カラジョンが原因のものは10%にも上る。カラジョンのこの性質が発見され、隔離が進む以前は40%近くの森林火災の原因になっていたと見積もられている。

カラジャンは燃え上がる際に種をまき散らし、火災により燃えなかった種は、灰によって肥えた土地でのうのうと育つ。生まれ変わりを見越した自殺なのだ。

と、ここまでひたすら嘘のつもりで書いたけど、実はほんとにユーカリは燃えるらしい。ストレスとかは関係なくユーカリオイルが燃えやすいって話。