標高+1m

Don't be rational

夢買い長者

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SFを書きました。


音楽好きのY氏は、いつものように<ミミナリ>を飲んで仕事をしていた。Y氏が耳の中で環境音を合成してネコネコカワイイを聞いていると、同僚のJ氏が話しかけてきた。
「Yさん、最近いい夢見ましたか」
「Jさん、私はネコネコカワイイを聞いて仕事をしていますから、邪魔しないで欲しい」
Y氏は苛立たしげに答えた。
J氏は、「ネコネコカワイイは僕もファンですけど、僕は真面目に言ってるんだ。100万円規模の話ですよ。僕は最近不運続きだから、いい夢を買って最近のことを夢にしたいんだ」と説明した。
<ミミナリ>を解毒したYさんは急に笑顔になった。
「そういうことならわかりました。いい夢ありますよ。南島の海辺の一軒家に住んでいる夢です。薬もガレージいっぱいにある。Jさんは親友だから20万円でいいですよ」
「いやいやYさん、これは僕にとって夢になりますから、僕は理論的に損しないんです。でっかく行きましょうよ」
「見つかれば重罪ですよ、世界線時空まわりは法整備が遅れているから、ちょっとしたことでも、ジャック防止ノイズが入った人工の夢しか見せないチップを埋め込まれるって噂です。」
「大丈夫です。実際逮捕者が少ない。ここに100万あります。さっきの夢をください」
「仕方ない。どうぞ」
「ありがとう。元気でな」
Y氏は帰宅すると、J氏との思い出を懐かしみながら消していった。こちらの方が都合がいい。明日出社してくるJさんとの記憶の差で、もどかしい思いをしなくて済む。
3ヶ月後、会社でY氏が作業していると、久しぶりにJ氏に話しかけられた。
「Yさん、いい夢があるんですけど買いませんか。南島の海辺の一軒家での休暇です。ミミナリもチョッカンも山のようにあります」

ア ライン アクロス #1終わり。#2へ続く